Transit Records Kyoto

Transit Records Kyoto Information

師を悼む(YOSHIKI)

去る7月23日 大学院時代の師、北村日出夫氏が逝去されました。
数日前ネットで見かけるまで、まったく知らなかった。。。
まったく持って申し訳ない思いでいっぱいです。

大学院なるものにモラトリアム気味に進学したわけだけど、その専攻にいたのが、北村先生だった。
結局、就職が既卒扱いで決まったということで、大学院をドロップアウトしちまうのだけど、
北村先生と竹内成明先生、山口功二先生には特に世話になったこともあり、
ずーっと「逃げてすいません」という気持ちが胸の底に沈殿したまま、今に至っている。

北村先生は強い信念を持ち、何事にも動じない親分肌の人だったように思う。
専攻内での主義の違いによる、勢力争いみたいなのがあって、
対抗勢力からは、強大な権力者に見られることもあったように聞いた。
でも私は、学生の考えていることを尊重し、面白がってくれる包容力と、
黒Yシャツ&光り物で一見「組長」風の装いにもかかわらず、記号論を使って、
メディアを論ずる「お洒落」さが好きだった。

あの大学院時代は私にとって、消してしまいたい位の暗い、鬱屈した時間だった。
目的や自信がなく、先の見えない不安に自分の存在がかき消されそうになっていたのだ。
ニートそのものであったともいえる。
当時買い込んだ書籍はほとんど処分し、授業で何を発表したかもほとんど忘れてしまっている。
思い出したくない時期もある。そして周囲にいた人とも連絡を絶ってしまった。

それでも、祇園のスナックで高い酒を飲ませてくれたこと、木屋町鮨屋で高い雲丹をおごってくれたこと、、、
そういうことははっきりと思い出せる。周りには気づかれないようにしていたつもりだけど、
将来への不安や自分の弱さに悩む院生を元気づけようと、コミュニケーションをとろうとしてくれたのだと思う。

北村先生のことだから、私のような籍だけ置いていたような学生の名前でさえ、記憶されていただろう。
ひょっとしたら音信普通になった私のことを心配してくださっていたのかもしれない。
現在、弱っちいけれど、社会人として何とか生活している姿を一度ご報告したかったが、叶わなかった。

安らかにお眠りください。

合掌